新しいクイチャーをつくろう! | 下地クイチャー保存会 伝統継承の取り組みに学ぶ

宮古島千年プラットフォームでは、地域の情報発信・収集業務の一環として、地域のために活動する、さまざまな分野の方にお話を伺っています。
今月から新企画「地域を知る~みゃーくローカルレポート~」として、定期的にミニレポートを発信していきます!

記念すべき第一弾は、2026年で第25回を迎えた「クイチャーフェスティバル」です!
協賛記事として、下地クイチャー保存会の取り組みをご紹介します。

下地各地区の知恵や経験を集めて

 宮古に数あるクイチャーの中でも、下地はちょっとユニーク。
下地クイチャー保存会が踊っている「下地原(すむずばる)ぬクイチャー」、実は、2005年、地域の人たちによって作られた、“新作クイチャー”なのです。

 宮古島市は、いわゆる「平成の大合併」施策により、5つの市町村が集まって2005年10月に誕生しました。2000年代初頭、日本では「文化芸術振興基本法」という文化芸術を尊重して大切にしながら振興していくための法律が制定され、その一環として地域固有の伝統芸能や民俗芸能の活動支援を行い、地域全体の振興を図ってきました。

 こうした流れもあり、旧下地町の人たちは、地域によっては継承者のいなくなったクイチャーに焦点を当てました。文化庁の地域づくり関連の補助金を活用し、皆で踊れる下地の統一クイチャーづくりに取り組んできました。 

 節(ふし)は昔からうたわれてきた「実世(のーず※ゆう)ぬクイチャー」、上地のクイチャーを基にし、作詞を与那覇真さん、唄・三線を村吉順栄さん・下地竜矢さん、太鼓を下地美智子さん、囃(はやし)は砂川昌一さんが担当しました。中学校長や音楽教師、教育委員など職業も様々で、与那覇や高千穂、川満ほか出身地域も異なる人たちが協力してCDを制作。2005年に「下地原のクイチャー」が誕生しました。
※(「ず」は「す」に「○」を付けて表記することもある、宮古方言独自の発音です)

歌詞に込めた思い

生活のようすや男女の想いを即興的にうたう

 クイチャーの歌詞は、もともと、生活のようすや男女の想いを即興的にうたったものでした。
「下地原クイチャー」には、前浜・咲田川(崎田川)・サニツ浜など地域の風物を織り込み、世の中がよくなってゆくこと、子や孫の代までも繁栄するよう願う気持ちが込められています。

 下地クイチャー保存会(現会長は村吉順栄さん)は2006年8月に結成。当時から今まで川満好信さんが事務局長を務めています。

 川満さんは、2002年にスタートした「クイチャーフェスティバル」について、宮古の人たちがクイチャーに改めて目を向ける大きなきっかけになったのではと振り返ります。2003年には下地公民館で子供クイチャー愛好会もつくられており、砂川勝美さんら当時の職員たちが熱心に指導を行ってきました。

川満さんは「下地原クイチャー」の振付も担当しています。「特徴としては手を叩く回数。漲水のクイチャーなどは2回叩くが、下地のクイチャーは1回」と解説。「できるだけ昔の踊りに近づけたいが、自分自身まだ完全に再現できてはいないので、この振付をきちんと引き継いでいくことが課題」とのこと。川満さんの風格ある踊り、絶妙な間合いが次世代にも伝わってほしいものです。

新しい「クイチャー」を次世代へ

 昔は各小学校で運動会といえばクイチャーが定番の演目でしたが、最近はエイサーなどに代わってきています。そんな中、なんと、下地小学校の校内には「下地原クイチャー」の歌詞の標準語訳が掲示されています!制作者のお話を児童へ継承する取り組みも行われています。歌詞に込められた思いを理解して踊ることで、幾重にも楽しみが増していくのではないでしょうか。

 今年、下地クイチャー保存会は、37年間続く「宮古の里クイチャー祭り」と、25年目を迎えた「クイチャーフェスティバル」に出演しています。

「ほんとうは、もっと踊る機会を増やしたい」と川満さん。また、現在は女性や小中学生の参加は多いものの、青年や中高年男性は少ないそうです。「下地はヨーンシーや棒踊りなども盛んで、それぞれの保存会もあるから」(川満さん)とはいえ、クイチャー好きもさらに増えてほしいですね。

 「なぜ続けているかというと、単純に踊ることが楽しいから」とにっこり笑う川満さん。地域でつくりあげた、まだ新しい「下地原のクイチャー」。

 宮古の全てのクイチャーが後世に末永く伝えられるよう、まずは、クイチャーフェスティバルに参加して、輪の中に加わって踊ってみませんか。

取材協力:友利幸正氏(下地公民館長)
     下地クイチャー保存会
参考文献:宮古のクイチャー調査報告書(平成18年3月刊、沖縄県教育委員会)

使用写真(撮影):宮古島千年プラットフォーム事務局

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